良い家庭教師と良いコンサルは、自分の仕事をなくしていく

家庭教師サービスを運営するなら、一人でも多くの家庭に、できるだけ長く利用してもらいたい。

事業だけを考えれば、その方が売上は安定します。

利用期間が長くなり、毎月の授業回数が増えるほど、サービスに入るお金も増えていきます。

それでも私たちは、家庭教師をずっと続けてほしいとは思っていません。

なぜなら、家庭教師の一つの成功は、先生がいなくても自分で勉強できるようになることだと考えているからです。

先生がいないと勉強できない状態は、成功なのか

家庭教師を始める理由は、家庭によって違います。

学校の授業についていけなくなった。

受験に向けて勉強方法を見直したい。

一人では計画を立てられない。

家で勉強しようとしても、何から始めればよいか分からない。

こうした状況で、隣に先生がいることには大きな意味があります。

分からない問題を説明する。つまずいている場所を見つける。今週やることを一緒に決める。できたことを認め、次へ進むきっかけをつくる。

最初は先生に支えてもらわなければ進めないこともあります。

しかし、何か月、何年と続けても、先生が来る日しか勉強しない。宿題を出されなければ何もしない。分からない問題があれば、すぐ先生に答えを聞く。

その状態のままなら、本当に子どものためになっているのかを考えなければなりません。

授業を続けていることと、子どもが成長していることは、同じではありません。

答えではなく、進み方を残す

家庭教師は、目の前の問題を解説できます。

でも、それだけなら、授業が終わったあとに残るのは、その問題の答えだけです。

本当に残したいのは、次に似た問題と出会ったとき、自分で考えるための方法です。

どこまで分かっていて、どこから分からないのかを整理する。

教科書やノートのどこを見ればよいかを考える。

問題文から必要な情報を見つける。

間違えた理由を言葉にする。

一週間で何を、いつ勉強するのかを決める。

分からないまま放置せず、質問を準備する。

こうした力は、一回のテストだけではなく、その先の学習にも使えます。

先生が毎回答えを与えれば、その時間は早く進むかもしれません。

けれど、少し待って子ども自身に考えてもらう。どこを見れば解決できるかを一緒に探す。次の一週間は本人に計画を立ててもらう。

時間はかかっても、その積み重ねが先生のいない時間を変えていくと思います。

良い先生ほど、自分の仕事を減らしていく

最初は、先生が勉強内容を細かく決める。

次は、いくつかの選択肢から子どもに選んでもらう。

その次は、子どもが自分で計画を立て、先生が確認する。

最後には、困ったときだけ相談すればよくなる。

先生が担っていた役割を、少しずつ子ども本人へ返していく。

私たちは、これも家庭教師の大切な仕事だと思っています。

もちろん、急に任せればよいわけではありません。

まだ基礎が身についていない子に「自分で考えて」と言うだけでは、放置になってしまいます。

必要な間はしっかり支えながら、できるようになった部分には手を出しすぎない。

昨日まで教えていたことを、今日は少し見守る。

先生が何もしなくなるのではなく、子どもの成長に合わせて、支え方を変えていく必要があります。

良い先生とは、自分がいなければ何もできない状態をつくる人ではありません。

自分がいなくても進めることを、一つずつ増やしていく人だと思います。

良い支援とは、支援がなくても進める状態をつくること

この考え方は、家庭教師だけの話ではありません。

企業を支援するコンサルの仕事でも、似たことが言われます。

コンサルタントが課題を見つけ、改善案を出し、施策を動かしている間だけ業績が良くなる。それでも、契約が終わった瞬間に元の状態へ戻ってしまうなら、その支援は企業の中に何を残したのでしょうか。

分厚い資料は残っている。

言われた施策も一度は実行した。

しかし、なぜその課題に取り組んだのか、数字のどこを見れば異変に気づけるのか、次に問題が起きたときにどう考えればよいのかを、社内の誰も説明できない。

それでは、企業はコンサルタントに答えを借りただけです。

良いコンサルは、目の前の問題を解決するだけではなく、課題の見つけ方や判断の基準、施策を実行して振り返る仕組みまで企業に残すと言われます。

最初は一緒に数字を見る。

次は、企業側が見つけた課題を一緒に整理する。

その次は、企業が考えた改善策に助言する。

最後には、コンサルタントがいなくても、社内で課題を見つけ、考え、動き、改善できるようになる。

支援する側が持っていた役割を、少しずつ相手へ返していく。

これは、家庭教師が子どもに勉強の進め方を渡していく過程とよく似ています。

家庭教師が問題の答えだけを教え続ければ、子どもは次の問題でも先生を待つことになります。

コンサルが正解だけを示し続ければ、企業は次の課題でもコンサルを待つことになります。

どちらも、支援しているように見えて、相手が自分で進む機会を奪ってしまう可能性があります。

だから大切なのは、答えそのものではなく、答えにたどり着くまでの考え方を渡すことです。

子どもには、分からない場所を見つけ、調べ、計画し、質問する力を残す。

企業には、課題を発見し、仮説を立て、実行し、数字を見て改善する力を残す。

対象も規模も全く違います。それでも、「相手が自分で前へ進めるようにする」という支援の本質は同じだと思います。

もちろん、コンサルとの契約が長く続くことが悪いわけではありません。

企業が成長すれば、これまでになかった新しい課題が生まれます。新規事業、採用、組織づくり、集客など、次の段階で専門家の力が必要になることもあります。

家庭教師も同じです。

一つの目標を達成したあと、受験や進学という新しい目標に向けて、再び支援が必要になることがあります。

問題なのは、長く関わることではありません。

相手が成長した結果として新しい支援が必要になるのか、それとも、支援する側がいなければ何もできない状態をつくって契約を続けるのか。その違いは、とても大きいと思います。

良い支援者は、自分を必要とさせ続ける人ではない。

自分がいなくてもできることを増やし、そのうえで新しい挑戦が生まれたときに、もう一度頼ってもらえる人なのだと思います。

長く続けることが必要な子もいる

一方で、短期間で家庭教師を辞めることだけが正しいとも考えていません。

受験まで継続的な支援が必要な子もいます。

学年が変わるたびに学習内容が難しくなり、長く伴走してくれる先生が力になる場合もあります。

勉強内容だけでなく、定期的に相談できる相手がいることで安心して学校生活を送れる子もいます。

大切なのは、何か月で辞めたかではありません。

続けている理由があるかどうかです。

「なんとなく不安だから」

「辞めるきっかけがないから」

「先生がいないと何もできなくなったから」

そうした理由だけで続いているなら、一度目標を見直す必要があります。

反対に、受験という明確な目標があり、本人が先生との学習に価値を感じているなら、長く続けることにも意味があります。

期間の長さではなく、その時間によって子どもに何が残っているかを見たいと思っています。

「卒業」は、サービスの失敗ではない

家庭教師を辞めるとき、成績が上がらなかった、先生と合わなかった、料金が負担になったなど、残念な理由で終わることもあります。

そうした終了は、運営として減らさなければなりません。

でも、すべての退会が悪いわけではありません。

自分で学習計画を立てられるようになった。

学校の授業についていけるようになった。

目標としていた受験が終わった。

困ったときに、自分から学校の先生へ質問できるようになった。

家庭教師を始めたときの悩みが解決し、先生の助けが必要なくなったのなら、それは退会ではなく「卒業」です。

利用者が一人減るという意味では、会社の売上は下がります。

それでも、子どもが自分で進めるようになった結果なら、サービスとして喜ぶべきことだと思います。

最初に、終わり方まで考える

家庭教師を始めるときは、どの教科を教えるか、週に何回授業をするか、どの先生にお願いするかを考えます。

そこにもう一つ、「何ができるようになったら卒業するのか」という視点を加えたいと思っています。

数学の点数を上げる。

次の定期テストまでに、毎日の勉強習慣をつくる。

一人で一週間の計画を立てられるようになる。

志望校に合格する。

目標は途中で変わっても構いません。

ただ、定期的に現在地を確認し、家庭教師を続けること自体が目的にならないようにする。

保護者、子ども、先生が同じゴールを見ていれば、授業の役割も分かりやすくなります。

家庭教師を始めるときから、いつか必要なくなる日を考える。

それは冷たいことではありません。

子どもが自分の力で進める未来を、最初から信じることだと思います。

卒業されることが、成功だ

家庭教師が必要な間は、しっかり頼ってほしい。

分からないことを聞き、計画を一緒に立て、できないときには支えてもらってほしい。

でも、先生に頼らなくてもできることが増えたら、その役割を少しずつ子どもへ返していきたい。

最終的に、先生がいなくても自分で学べるようになる。

その結果としてlumeraを卒業する日が来るなら、私たちはその終了を成功と呼びたいと思います。

卒業されることが、成功だ。

家庭教師を、ずっと続けてもらうためではなく、いつか必要なくなる日をつくるために。

それは、良い家庭教師だけでなく、良いコンサルや、誰かを支えるあらゆる仕事に共通する姿勢なのかもしれません。

相手を自分に依存させるのではなく、相手の中に力を残す。

lumeraは、そんな家庭教師サービスでありたいと考えています。


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